卓球のカットとは
卓球でいうカットとはボールをななめに切る様に打つことでボールに下回転をかける技術です。
比較的多くの選手が使用している技術であり、カットを主体とした戦いをする選手をカットマンといいます。
カットの打ち方は比較的シンプルなフォームのため、初心者にとって覚えやすいのも特徴です。またこのカットはサーブだけでなく、レシーブにおいても使うことができます。
<参考>下回転サーブ(カットサーブ)についてはこちらで解説。
ここでは主にレシーブにおけるフォアカットとバックカットについてまとめていきます。
卓球のカットの種類
卓球のカットは、フォアカットとバックカットに分類されます。
フォアカットは、フォア側でカットを行い、バックカットはバック側でカットを行います。
卓球のカットの仕組みと回転
卓球のカットは基本的には下回転でありラケットを上から下に切るように振り下ろすことで、下回転ボールを打つことが出来ます。
<参考>卓球の回転のメカニズムについてはこちらの記事で解説
卓球のカットのやり方
卓球のカットのやり方をフォアカットとバックカットのそれぞれに分けて解説します。
フォアカットの打ち方とコツ
ボールに合わせて右足をあわせ、左足への体重移動をしながら打球します。
ラケットの位置は耳の高さにして、振り下ろすようにスイング、ボールに下回転を与えます。
スイング後はすばやく次の攻撃に備えるようにポジションを整えます。
バックカットの打ち方とコツ
ボールに合わせて右足をあわせ、左足から右足への体重移動をしながら打ちます。
ラケットの位置は左耳の高さにして、振り下ろすようにスイング、ボールに下回転を与えます。
スイング後はすばやく次の攻撃に備えるようにポジションを整えます。
卓球の初心者向けカットの打ち方のポイント
ボールを体に引きつけて打つ
ボールの着地点に合わせて右足を合わせ、ボールが体ギリギリのところにまで来るまで引きつけて打ちます。そうすることでカットに安定した回転をかけて打球することができます。
カットを打つときのラケットの角度は45度
ボールをななめに切る様に打つのがカットスイングの特徴ですが
カットを打つ際のラケットの角度は、打球面を上に向けた状態で、台に対しておおよそ45度くらいでスイングするのが理想です。
ただ45度から90度にかけて、徐々に角度をつけていくにつれて回転がかかりにくくなります。
相手コートに向けて押し出すようにスイング
カットで返球する際は基本的にラケットを上から下に大きく振るのですが、
打球時に相手コートに向かってボールをやや前に押し出すように大きくスイングをすることで、
下回転がしっかりとかかったボールを返すことができます。
軸足の体重移動
また、ボールをしっかりと引きつけて、軸足をラケット側に体重を移動しながら打球することもポイントです。
腰にひねりをいれる
体重移動とともに打球すると必然的に腰のひねりが入ります。
この腰のひねりがボールに加わることでボールの回転力を一段と強める原動力になり、強力な下回転を加えることができます。
打球後は次の攻撃に備えるために、素早く腰を戻し、体を卓球台の正面に戻す必要があります。
卓球動画
フォアカット
基礎テクニック フォアカット|卓球の技術|上達のコツ
バックカット
基礎テクニック バックカット|卓球の技術|上達のコツ
フォアカット/バックカット
卓球のカットが安定しない場合
卓球のカットの下回転がうまくかからない
まずは腕や手首に無駄な力が入っていないかチェックしてみて下さい。
腕に力が入りすぎているとラケットの切り方が甘くなってしまい、下回転がうまくかかりません。
更に回転がかからない理由の一つに、ボールが回転がかかる前にラケットで打ってしまっているというのが考えられます。
対処法としてバックスピンを掛ける練習が効果的です。卓球台の上で軽めにカットスイングを行い、下回転をかけます。
打ったボールが自分の方に戻ってくるようであれば回転がしっかりとかかっています。
何度も繰り返し練習をすることで下回転を掛けるコツが掴めてきます。
卓球のカットでボールが浮く場合
カットを打った時にボールのバウンドがネットの高さよりも高くなってしまうことがあります。そうした時に、相手からドライブなどによる攻撃を受けやすい状態となります。
このボールのバウンドがネットよりもはるかに高い状態のことをボールが浮くといいます。
カット打ちで大事なのはなるべくボールのバウンドを抑え、相手に返球されにくいボールを返すのが重要です。
返球されにくいボールとはネットの上すれすれになるボールです。
このネット上すれすれにボールをコントロールするにはラケットの角度コントロールと力加減が必要です。
通常はカットを打つ際のラケットの角度は台に対しておおよそ45度くらいですが、ボールを打つ位置が卓球台から後ろに行けば行くほど、ラケットの角度の調整や力加減が難しくなります。
さらに距離をとったことで打球の際に体勢が崩れやすくなり、ラケットの打球面が上に向いてしまい、ボールが浮きやすくなってしまいます。
このボールが浮かないようにするためにも、なるべく卓球台に近い位置でカットをすることが重要です。また、やむなく卓球台から遠いところでカット打ちをする場合においては、体勢が崩れないように打つこと。
そしてネットの高さを確認しながら、弾道が低くなるよう意識して打球するのが良いでしょう。
カット打ちが上達するおすすめの練習方法
カット打ちが上達するおすすめの練習方法は、①カットマンと練習すること、②カットマンとゲーム練習をすることの2つになります。
①カットマンと練習
カットの上達に欠かせないのがカットマンとの練習です。自分が打ったカットボールがカットボールで返球されてくるため、再度カットで返球するといった反復練習になります。
また、相手がカットの上級者であれば難易度の高めのネットすれすれのカットボールも打ってきますので、返球練習に役立ちます。
②カットマンとゲーム練習をする
カットの上達に更に役立つのがゲーム練習です。ゲーム練習とは実際の試合と同様のルールで行うのが一般的ですが、このゲーム練習に技術とコースを限定する方法を取ります。
具体的にいくつか挙げてみます。
・フォアカットのみの限定ゲーム
フォアカットのみでゲームを行います。
・バックカットのみの限定ゲーム
バックカットのみでゲームを行います。
・卓球台の反面のみの限定ゲーム
フォアカットまたはバックカットどちらかを使い、お互いが卓球台のバック反面のみに限定して返球します。
卓球動画
初心者同士でもできる!カットを安定させる練習方法!
卓球のカットの返し方
カットボールの返球方法
卓球のカットは試合の中で結構頻繁にあり、カットで下回転を打つと同様の下回転で返球されてくることもしばしばです。そのため、カットを打つときには、下回転での返球がされてくることも想定していく必要があります。
ここでは下回転で返ってきたボールの返球方法などを解説します。
一つの一例としまして、例えばコートに入った下回転ボールを普通に返そうとした場合、回転作用から下方向に落ち、ネットに掛かります。
これらを避けるための対策としては、下回転ボールに対し、同じ下回転でレシーブする
もしくはこの下回転ボールの回転量を上回る上回転(ドライブ)でレシーブするなどの方法が挙げられます。
つまり、回転に合わせたやり方である同じ下回転による返球、回転量を上回る上回転での返球。
これらが基本的なカットへの返球方法となります。
その他、カットの返球方法には他にも様々な方法がありますが、よく知られているものにストップやツッツキといった下回転返球技術もあります。
ツッツキとの使い分け
ツッツキは、台の前陣で短く打ち込まれた下回転ボールに対してラケットで突くようにして打つことからツッツキと呼ばれます。そのため卓球台の外側で打つにはやや不向きです。その一方でフォアカットやバックカットなどは中陣や後陣の下回転を打つ事に適しています。
このようなことから下回転ボールに対し、前陣に短く打ち込まれた場合はツッツキで対応、中陣や後陣に打ち込まれた場合はフォアカットやバックカットというように、試合の中で使い分けることで様々な下回転ボールに対応しやすくなります。
卓球のカットマン
卓球のカットマンとは
卓球におけるカットマンとは卓球のプレースタイル(戦型)が守備型であるカット主戦型の選手の事をいいます。
卓球のカットマンの特徴
相手のボールをひたすらカットで返球して相手のミスを誘う
相手の打ちにくいカットボールを使い、チャンスに乗じて得点を狙うなど
守備型の典型なのがカット主戦型であるカットマンの選手の特徴です。
<参考>カット主戦型についてはこちらで解説しています。
また卓球のカットマンスタイルには女子選手が多いのも特徴です。
日本の卓球女子選手では橋本帆乃香選手や日本女子屈指のカットマンとして世界一の呼び声高い佐藤瞳選手が挙げられます。
橋本帆乃香選手
佐藤瞳選手
朱世赫(チュ・セヒョク)選手
男子卓球界のカットマン世界一といわれているのが韓国の男子卓球選手である朱世赫(チュ・セヒョク)選手
カットマンとしてバックカットを巧みに使い数々の大会で輝かしい成績をあげ、世界ランキング5位にもなったことがあります。2022年からは、韓国男子代表の監督に就任しています。
卓球のカットマンに向いている人とは
カットマンのプレーは独特で見ている側も惹きつけられるところも多いです。
自分もカットマンになりたいと、考えた方も多いのではないでしょうか。
卓球のカットマンとは基本的には守備型で相手のミスを誘うことと相手の不意をつくといった2つの特徴があります。
この特徴から、卓球のカットマンに向いている人としては辛抱強さを持っている人が適正といえます。
相手のミスを待ちながらひたすらカットを打ち続ける。または相手のスキがでるまでひたすらカットを打ち続ける。など守備型として辛抱強さを持たなければいけません。
その一方で辛抱することが苦手であり、攻撃をしたい気持ちが強い人の場合、カットマンよりもドライブ型のような攻撃型で相手を攻めていくスタイルが向いています。
卓球のカットマン向けラバーの組み合わせ
通常、卓球のラバーにはフォア面とバック面にそれぞれ裏ソフトラバーを貼る方が多いのですが、ラケットのラバーのバック面にのみ、粒高ラバーを貼ることで、フォアとバックそれぞれの打球にラバーによる変化を与えて打つことができます。
表面に粒がある粒高ラバーは、ボールに独特の変化を与える傾向があるからです。また、裏ソフトラバーや粒高ラバーの他に表ソフトラバーというものがあります。
この表ソフトラバーはスピードボールが出やすい反面、回転がかけにくいラバーのため、バックカットの際は自力で変化を与える必要があります。
バックカットにラバーそのもので回転をスムーズに加えたい場合➡バック面に裏ソフトラバー(初心者向け)
バックカットにラケットのラバーで変化を加えたい場合➡バック面に粒高ラバー
バックカットに自分のカット技術で変化を加えたい場合➡バック面に表ソフトラバー
初心者向け 卓球のカット打ちに最適なラバーのおすすめ3選
裏ソフトラバー
柔らかいLimberのスポンジを使用する事で攻撃的な反面、扱い易さを兼ね備えた究極のオールラウンドラバー。
粒高ラバー
より扱いやすいツブ高として、異質ラバー使用の前陣攻守型や変化と安定を求めるカットマンに最適
表ソフトラバー
表ソフトラバーと粒高ラバー両方の特性を持つラバー。従来の表ソフトラバーと同じ感覚で使用しながらも、粒高ラバーのような変化ボールを打つ事も可能
初心者向け カット打ちに最適!おすすめシェークハンドラケット
弾みを抑えた低反発ラケット、優れたカットの安定性を実現
対カットマンへの戦術
カットマンの選手と対戦する場合、相手はカット技術が多彩なため、カットで打ち負けてしまいミスを犯してしまうこともあります。この場合、同じ土俵(カット主体)で戦うよりもカットマン対策をとっていくことが必要となります。
カットマンの基本的な戦術は、前陣はツッツキ、中~後陣はフォアカットやバックカットをくりだして来ることです。
こちらでカットで返せば、相手もひたすらカットで繰り返してきます。こういった対カットマンの対策としては以下のやり方を使います。
対カットマン対策
対カットマンの対策としては
ドライブやツッツキで前後に打ち、揺さぶることで相手のミスを誘い込む方法が効果的です。
つまり自分のペースに持ち込んで相手のペースである、カット主体にさせないようにすることが重要です。
卓球のカット基礎知識 まとめ
卓球のフォアカットとバックカットを使えるようになることで下回転ボールに対してもスムーズに対応できるようになります。多球練習などでまずはフォームと打ち方を身につけ、フォアでもバックでもカットで返球できるようになりましょう。
まずは第一歩としてカット主体の選手との対戦練習の機会を多く持ってみて下さい。何度も対戦練習することで、カット主体の選手への対応などもできるようになって、試合に活かせるようになります