卓球の試合中、強烈なドライブやスマッシュに押し込まれ、台から大きく下がらされてしまった経験はありませんか?
そんな場面で試合を立て直すために欠かせない技術が、ロビング(Lob)です。
ロビングは単なる「苦し紛れの返球」ではなく、
- 体勢を立て直す
- 相手のミスを誘う
- ラリーの流れをリセットする
- 守備から攻撃へ転換する
ための、極めて戦術的な技術です。
ロビングとは?守備から主導権を取り戻す技術
ロビングとは、相手の強打に対して高い弧線を描いて深く返球する守備技術です。 ロビングの意味は「時間を作り、体勢を立て直すための守備的ショット」 であり、単なる返球ではありません。

スマッシュや連続ドライブに対して時間を作り、試合を崩さないために使われます。
スマッシュ側の特徴を理解しておくと、ロビングの必要性がより明確になります。
スマッシュの打ち方・威力・決定力を高めるポイントはこちら:
卓球のスマッシュの打ち方・コツ、技術的なポイントとは
ロビングの役割|「時間を作る」ことが最大の目的
ロビングの最大の価値は、攻めることではなく、試合を立て直す時間を確保することです。
- 崩れた体勢を戻せる
- 相手に連続強打を強いることでミスを誘える
- ラリーを長引かせて相手の焦りを引き出せる
ロビングを使うべき場面チェック表
| 状況 | ロビング有効度 |
|---|---|
| スマッシュを連打された | ◎ |
| 体勢が崩れた | ◎ |
| 下がらされた | ◎ |
| ラリーを切りたい | ○ |
| 攻撃したい | △ |
ロビングとスマッシュの関係性
ロビングとスマッシュは、単なる攻守の関係ではなく、
- スマッシュ:時間を奪う技術
- ロビング:時間を作る技術
という「時間のコントロール」を巡る対の戦術になります。

ロビングの戦術的価値|守備技術ではなく「試合を動かす武器」
ロビングは「追い込まれた時の苦し紛れの返球」と思われがちですが、実際の試合では流れを変える“戦術的ショット”として非常に重要な役割を持っています。
特に現代卓球では、ドライブ・スマッシュの威力が向上したことで、ロビングは単なる守備ではなく攻守転換のトリガーとして活用されています。
なぜロビングが有効なのか?(現代卓球との相性)
現代卓球には、次のような特徴があります。
- 回転量が多くラリー速度が速い
- 前陣〜中陣の攻撃型が主流
- 一撃決定型の展開が増えている
この環境では、強打を続ける側は次第に
- 打点が下がる
- 無理打ちになる
- フットワークが乱れる
というリスクを抱えます。
ここでロビングを使うと、相手に「打ち続ける負担」を押し付けることができます。
ロビングは「時間」を作るショット
ロビング最大の戦術価値は、時間のコントロールにあります。
- ラリーのテンポを遅らせる
- 自分の体勢を整える
- 相手の集中を切る
つまりロビングは、試合のスピードを自分のリズムへ引き戻す技術なのです。
相手の心理を崩す「嫌なボール」になる理由
ロビングは技術以上に、ロビング特有の心理効果 によって相手に強いプレッシャーを与えます。
強打側の選手はロビングに対して、
- 「決めなければいけない」
- 「何本も打たされる」
- 「体力を消耗する」
という焦りを感じやすくなります。
この状態になると、
- スマッシュミス
- オーバーミス
- 無理な角度打ち
が一気に増えます。
ロビングは相手のエラーを引き出す戦術でもあるのです。
守備から攻撃へ転換できる唯一の“受け技術”
ロビングが他の守備技術と決定的に違うのは、守りながら主導権を奪えることです。
ブロックやツッツキは相手に主導権が残りますが、ロビングは
- 打つ距離を強制的に後ろへ下げさせる
- 体力を奪う
- タイミングを狂わせる
ことで、ラリーの支配権が徐々に逆転していきます。
守備技術全体を整理したい場合はこちら:
卓球の基本技術(カテゴリ)
ロビングを使うべき具体的な場面
- 相手の連続攻撃に押されている時
- ラリーの主導権を取り返したい時
- 体勢が崩れた状態から立て直したい時
- 相手の決定力に波がある時
- 長いラリーで体力勝負に持ち込みたい時
ロビングは「守る技術」ではなく、勝つための選択肢です。
ロビングとフィッシュの違い
フィッシュとは、台から下がった位置からの返球で、スマッシュなどに対する守備技術です。ロビングと似ていますが、弾道の高さが大きな違いになります。
弾道の高さが山なりで高いのがロビング、低めの弾道がフィッシュとなります。
どちらも試合の中では、よく使われる技術です。違いを覚えておきましょう。

ロビングとフィッシュの弾道の違い
ロビングとフィッシュの弾道の違いは次の通りです。
| 技術 | 弾道 | 性質 |
|---|---|---|
| ロビング | 高い山なり | 守備・時間を作る |
| フィッシュ | やや低め・速い | 攻守の中間 |
ロビングと他技術の違い
| 技術名 | 使用場面 | 弾道 | 難易度 | 目的 |
|---|---|---|---|---|
| ロビング | 強打された時 | 高い山なり | 中 | 時間を作る |
| フィッシュ | 下がったラリー | やや高い | やや高 | 粘り返す |
| カウンター | 前陣〜中陣 | 直線的 | 高 | 攻撃 |
| ブロック | 台上 | 低い | 低 | しのぐ |
カウンターやブロックなど他の技術との関係はこちらも参考になります:
卓球カウンターの打ち方
ロビングの回転|上回転が基本
ロビングの回転は上回転が基本です。横回転を加えてイレギュラーな変化を出す方法もありますが、まずは安定した上回転ロビングを身につけることが重要です。
- 上回転量が多いほど、高く・なおかつ距離が伸びる
- 打ち返しにくいロビングになる
回転の仕組みを理解しておくと、ロビングの安定度が一気に向上します。
回転の基礎はこちら:
卓球の回転の基本|上回転・下回転の仕組みとサーブ・レシーブ対策
ロビングの打ち方(基本フォーム)

打球点は「落ちてくる頂点」
早すぎると浅く、遅すぎると失速します。
ボールが頂点から少し落ちてきた位置を狙うのが理想です。
ラケットはやや開いて上方向へ振る
前ではなく「上」に振るのが重要です。
弾道を高くする意識を持ちましょう。
軽い上回転をかける
当てるだけの無回転では、スマッシュを打ち込まれやすくなります。
軽く上方向へ擦るイメージで、自然な上回転をかけましょう。
弾道の作り方
- ネットの2〜3倍の高さを通す
- 相手コートのエンドライン付近を狙う
- 「高く・深く」を最優先する
フォアの基本フォームを押さえておくと、ロビングも安定しやすくなります:
卓球フォアハンドの基本完全ガイド
ロビングが苦手な人の共通ミス|入らない原因はここにある
ロビングが安定しない、いわゆる 「ロビングが入らない」 と悩む人の多くは、技術不足というよりも、やってはいけない動作を無意識にしているケースがほとんどです。
ここでは、試合や練習でよく見られる代表的な失敗例と改善ポイントを解説します。
ミス①:低く返してしまう(=一番多い失敗)
「アウトが怖い」という心理から高さを出せず、ネットすれすれのロビングになってしまうケースです。
しかし低いロビングは、相手にとって絶好のスマッシュチャンスになります。
改善ポイント
- ネットの2〜3倍の高さを通す意識を持つ
- “高すぎるかも”くらいでちょうど良い
- 深さはスイングで調整し、高さは恐れない
ロビングは「低く安全に入れる技術」ではなく、高くして時間を作る技術です。
ミス②:無回転になっている
当てるだけの返球になると、ボールが失速せず、相手に打ち頃の球を与えてしまいます。
無回転ロビングは、最も打ち込まれやすい球質です。
改善ポイント
- ラケットを少し開き、下から上へ“薄く擦る”スイングを入れる
- 強回転は不要、自然な上回転でOK
- 「持ち上げる」イメージを持つ
ミス③:下がりながら打っている
打球時にさらに後退してしまうと、体勢が崩れ、
- コントロールが乱れる
- 威力調整ができない
- 次の動きが遅れる
改善ポイント
- 先に下がる → 止まって打つ
- 打つ瞬間は必ず体を安定させる
- 「移動」と「スイング」を分ける
ロビングはフットワークの質が安定に直結します。
基礎から動きを見直したい方はこちら:
→ 卓球のフットワークと練習メニュー完全解説
ミス④:腕だけで打っている
ロビングは力で飛ばす技術ではないため、腕だけで操作すると、
- 球が浅くなる
- 距離感が合わない
- 安定しない
改善ポイント
- 下半身と体の回転で運ぶ
- 腕は“方向づけ”だけ
- 山なりの軌道を体全体で作る
ミス⑤:とにかく返すだけになっている
初心者に多いのが、「返球すること」だけが目的になってしまう状態です。
しかしロビングは本来、
- 体勢を立て直す
- 相手を下げる
- 次の反撃を作る
ための戦術技術です。
改善ポイント
- 返した後の展開を必ず考える
- 深いコースを狙う
- 相手を動かす意識を持つ
ロビングは守備ではなく、次の1点を作る準備の球です。
ロビング成功のコツ5選
- 高さを恐れない(ネットの2〜3倍)
アウトを恐れて低くすると、相手の餌食になります。 - 深さ最優先(浅い=失点)
浅いロビングは、前に詰められて一撃で決められます。 - 横移動で打球位置を確保
ボールの正面に入ることで、弾道が安定します。 - 力まない(運ぶイメージ)
強く打つ必要はなく、「ボールを運ぶ」感覚が大切です。 - 次の1球を考える
返して終わりではなく、「次にどう攻めるか」を常に意識します。
【レベル別】ロビング練習方法
初級者|まず返球の安定
目的:とにかく高く・深く返す感覚を身につける

- 相手に軽めのスマッシュを打ってもらう
- ネットの2〜3倍の高さを必ず通す
- コースは気にせず、高さと深さだけ意識
目標:10本連続で高く・深く返せたら合格
基礎練習全体を整理したい場合はこちら:
卓球の練習方法|初心者が最短で上達する超完全ガイド
中級者|回転・コースの調整
目的:相手を動かすロビングにレベルアップ
- フォア・バックへ打ち分ける
- 高さのコントロールを意識する
- フィッシュとの使い分けを練習する
守備技術全体を強化したい場合はこちら:
卓球バックカットの打ち方とコツ
上級者|戦術練習
目的:守備で終わらず、攻撃へ繋げるロビング
- ロビング → カウンターへの移行練習
- 前後左右の揺さぶりを組み込む
- 守備から攻撃への切り替えを意識
戦術理解を深めたい場合はこちら:
卓球の基本戦術 9パターン
ロビングが安定する改善練習メニュー|ミスを直すための実践ドリル
ロビングは回数を打つだけでは上達しません。
「失敗の原因ごとに練習を分ける」ことが最短上達のポイントです。
練習①:高さを出す感覚を身につける【低くなる人向け】
目的:山なりの弾道を体に覚えさせる
- 相手に軽くスマッシュを打ってもらう
- ネットの2〜3倍の高さを必ず通す
- コースは気にしない(高さ最優先)
目標:10本連続で「高い弧線」を作れたら合格
練習②:自然な上回転をかける【無回転になる人向け】
目的:当てるだけのロビングを卒業する
- ラケットを少し開く
- 下から上へ“薄く擦る”スイングを入れる
- 力は使わない(回転量より安定)
上回転・下回転の違いとボール変化の仕組みを基礎から解説した記事はこちら
練習③:止まって打つ習慣を作る【下がりながら打つ人向け】
目的:体勢を安定させる
- いったん大きく後ろへ下がる
- 足を止めてから打つ
- 打った後に次の移動をする
ルール:「移動 → 打球 → 移動」を必ず分離する
練習④:体全体で運ぶ感覚を作る【腕打ち改善】
目的:距離感の安定
- 腕の力を抜いて構える
- 軽く体重移動だけで打つ
- 腕は“添えるだけ”を意識
疲れないロビング=正解です。
練習⑤:試合を想定した実戦ロビング【最重要】
目的:返すだけのロビングから戦術ロビングへ
- 相手に3球連続スマッシュしてもらう
- 4球目を深く返すことを目標にする
- 返球後は前に戻る準備を必ず行う
これで身につく能力:
- 試合中の粘り
- 守備からの切り替え
- 焦らない感覚
練習頻度の目安:週2回・5分で十分効果が出ます。
ロビングは筋力ではなく、距離感と弾道感覚の技術だからです。
レシーブ全般の安定もロビングに良い影響を与えます:
卓球レシーブの基本とコツ
ロビング後に前へ戻る動作はフットワークの基礎が重要です。
→ 卓球のフットワークと練習メニュー完全解説
ロビングの返し方と対策
ロビング対策ができないと、試合で大量ミスを生みます。 特に ロビングレシーブ(ロビングされた球の返球) を理解していないと、無理なスマッシュ連打で自滅しやすくなります。
ロビングを安定して打ち返すには左右のフットワークが欠かせません。
→ 卓球のフットワークと練習メニュー完全解説
頂点で打つ
ロビングされたボールを、落下を待ってから打つと威力が消えます。
頂点付近で捉えることで、安定した強打が可能になります。
スマッシュ連打はNG|ドライブで安定させる
無理なスマッシュ連打は、オーバーミスやネットミスを増やします。
基本はドライブで安定して打ち続けることです。
フォアドライブの基本はこちら:
卓球のフォアドライブの打ち方のコツとは
緩急を使う・ストップを混ぜる
すべて強打で返すのではなく、
- 強打 → 軽打
- ドライブ → ストップ
といった緩急と前後の揺さぶりを入れると、相手は非常に嫌がります。
ストップ技術はこちら:
卓球のストップの打ち方とコツとは
ロビングにはスマッシュで仕留める場面も必要
相手のロビングが浅くなったり、甘くなったりした場面では、スマッシュで一気に仕留めることも重要です。

スマッシュの基礎はこちら:
卓球のスマッシュの打ち方・コツ、技術的なポイントとは
ロビングに適したラケット・ラバー
ロビングは「弾みすぎない用具」が有利です。 特に ロビング用具を選ぶ際は、コントロール性能と弧線の出しやすさ を重視すると安定します。
| 要素 | 向いている特徴 | 理由 |
|---|---|---|
| ラケット | コントロール重視 | 飛びすぎ防止 |
| ラバー | 回転系テンション | 弧線が安定 |
| 硬度 | 中硬度以下 | 扱いやすい |
ラケット選びのポイント
- コントロール性能重視
- 球持ちが良い
- 弾きすぎない
ラバー選びのポイント
- 回転がかけやすい
- 弧線が出やすい
- 硬すぎないスポンジ
卓球用具ラケット・ラバー選びはこちら:
卓球ラケット・卓球ラバーの選び方完全ガイド
ロビングは試合力そのもの
ロビングができる選手は、
- 崩れない
- 焦らない
- 粘れる
- 格上に強い
卓球は「決定力」だけの競技ではありません。
守備力=実力です。
FAQ
ロビングとは何ですか?
相手の強打に対して高い弧線で返球し、時間を作る守備技術です。
ロビングとフィッシュの違いは?
ロビングは守備的な高い返球、フィッシュは攻撃的要素を持つ低い返球です。
ロビングは初心者にも必要ですか?
必須です。守備が安定すると試合継続力が大きく向上します。
ロビングされた時はどう返せばいいですか?
頂点でドライブ気味に打ち、無理なスマッシュ連打を避けます。
ロビングに向く用具は?
弾みすぎず、回転をかけやすいコントロール重視の用具です。
本記事の内容は、実際の練習データ・試合経験・指導現場での改善事例をもとに作成しています。技術の説明は一般的な卓球理論に基づき、誤解を招く表現を避けるよう配慮しています。
まとめ|ロビングは守備ではなく“戦術技術”
この記事の内容は、実際に私自身が指導現場や試合経験の中で培ってきたロビング技術をもとにまとめています。特に、強打を受けた場面での立て直し方や、相手のミスを誘う弾道作りは、実戦で効果が高かった方法です。
ロビングは、
- 試合を立て直す時間を作る
- 相手のミスを誘う
- 守備から攻撃へ繋ぐ
- 試合経験値が最も表れる技術
スマッシュやドライブと同じく、勝つために欠かせない重要技術です。
まずは「高く・深く・落ち着いて」返すことだけを意識してみてください。
それだけで、試合が崩れにくくなり、ラリーの主導権を取り戻せる場面が確実に増えていきます。



